99年の夏、京都文化博物館にて「美の昇華、上村松園没後50年記念展」を見に行った。
その日の目的は本当は京都市立美術館での「フランス印象派展」だったのだが、
たまには美術三昧の日もあってよかろう、ということで「上村松園展」はついでだった。もちろん、「上村松園」という名前も聞いた事すらなかった。その日はお盆ということもあり来館者も少なく、あまり知られていない人やねんな、と思いこんでしまった。
おそらく、松園さんの絵がたくさんあるうちの1枚、2枚を見ただけだったら(きれいやなぁ)、ぐらいにしか思わなかっただろう。しかし、その莫大な量の作品と、下絵類、その時代背景や描いた当時の心情を照らしながらじっくり見ていくうちに、すっかり惹きこまれていった。
何がすごい、というと絵のきれいさだけではない。もちろん、透けるような襦袢や細かな着物の柄、帯の結び方から髷の結い方までほ〜っとためいきをついてしまうほどの美しさは、ただただ感動。でも、それ以上に女性の表情からあふれでんばかりの感情。こっちまで胸が締め付けられそうになる。
序の舞
よそほい
2時間ほどその美術館にいたであろうか。すっかり感動にひたってしまった私に、一緒に行った友人が「序の舞」と言う本を勧めてくれた。宮尾登美子さんが書いた上村松園さんをモデルにした小説だった。よし、是非読もう、と思い本屋に出向いたが見つからない。すると、なんと父が既に持っている、というではないか!びっくり!
手にしたその本は思った以上に分厚い。しかし、読み始めるとあっという間にページが進む。次のページを読むの
がもどかしいほど本にものめりこんでしまい、3日で読みきってしまった。その後も何度も何度も読み返してしまった。これは、松園さんがすごいのか、それともこの本を書いた宮尾登美子さんがすごいのか、本気で悩んだ。そこで、宮尾登美子さんの本を他に数冊読んだ、が、やっぱり私が興味を持つのは上村松園さんそのものだ、という事に気づき、彼女の随筆「青眉抄」を購入。やっぱり松園さんはすごい。すごい女性だと思う。
「序の舞」はあくまでも物語ではあるだろうが、実際松園さんの心の中はきっとそうだっただろう、と思う。明治生まれで男がすなる絵の世界に一人で乗り込みしかも女性の手で美人画という新しいジャンルを切り開き、いじめられてもしっとされてもキッと歯を食いしばり自分の道を突き進む、そんな彼女の心情はものすごーく共感するものがあった。
そしてまた、松園さんの師匠、その時代の日本画家にも興味を持ち、これまで知らなかった世界が広がって行くような気がした。
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参考文献